KNホールディングス株式会社 事業承継 成約インタビュー
KNホールディングス株式会社 代表取締役社長 冨張 恭史
- 創業年月日 2010年7月
- 事業内容 保育園経営(全12園)
- 従業員数 136名
KNホールディングス株式会社は、2010年に不動産業としてスタートし、2011年から保育事業に取り組み、現在は私立保育園キッズナーサリーを中心に12園の運営を行っています。エムエーウェルフェアの事業承継コンサルティングを採用した経緯や成果への評価について、株式会社KNホールディングス 代表取締役 冨張 恭史様にお話を伺いました。
私立保育園キッズナーサリーを中心に12の園を運営
──株式会社KNホールディングスについて教えてください。
もともとは2010年7月に不動産業として設立した会社です。最初は不動産の売買や仲介を主に行っていました。保育事業を始めたきっかけは2011年に知り合いから認可外の保育園を譲り受けて、運営を行うことになったことです。そこから毎年1~2園ずつ増えていき、現在は私立保育園キッズナーサリーを中心に12の園を運営しています。また、2015年8月には子供専門の旅行会社、株式会社キッズナーサリートラベルを設立し、10月に旅行業免許取得を取得しました。現在は不動産、教育、旅行の3事業を行っています。
──保育事業に進出された理由を教えてください。
不動産業としてスタートしましたが、大手不動産会社も多々ある中で生き残っていくには、不動産業にプラスした何かが必要だと考えていました。それも今で言うSDGs(持続可能な開発目標)ではありませんが、何か社会に貢献できるものを取り入れながら、ビジネスとして成立するものであることが大切です。
それが弊社の場合、保育事業だったわけです。2011年に初めて保育園の運営をスタートさせ、毎年1~2園ずつ増やしていく中で、保育事業の方が不動産業よりも収益も含め安定していることがわかってきました。不動産業ではよくストックビジネスとして賃貸収入によるモデルが取り上げられますが、保育事業もある意味でストックビジネス的に、毎年安定した収益が上げられるビジネスモデルです。そこで保育事業に注力していくことに決めました。現在では事業の9割を保育事業が占めています。
保育の特徴は『保けいこ』にあり
──保育事業の経験はおありでしたか。
まったくありませんでした。最初の保育園を始めたとき、まず私自身が保育の現場に入り、送迎バスの運転を行ったりと、一から学びました。また、最初の園を譲ってくれた会社も運営に協力してくれて、1年が経つ頃には園運営に関するコツや仕組みも理解することができました。
当時は待機児童もかなり多く、認可保育園に入れなかった園児がどんどん入園してきましたので、初年度から大勢の園児がいる状態でスタートすることができました。もちろん様々な工夫をして、キッズナーサリーとしての特徴を出し、他園との差別化も図ってきました。
──どのような特徴を出されたのですか。
まず前提として、私たちの保育園は認可外保育園です。認可保育園のように行政の補助金はなく、保育料も認可保育園と比べれば高額になります。そこで保護者の皆さまに選んでもらえるためには、保育の質や特徴が重要になります。
キッズナーサリーでは『保けいこ』といって、知育教室や英会話教室、体操〈ヨコミネ式体操〉などを通常の保育に加え、毎日実施しています。通常の『保けいこ』の他にもオプションとして、スイミングスクールやダンス教室、鍵盤ハーモニカ、プログラミングなどの教育プログラムも受講することが可能です。例えばスイミングスクールなら、保育時間中に提携スイミングスクールが送迎をしてくれます。
お子様に習いごとをさせたいという場合、保護者が保育園に迎えに行き、習いごとのスクールに連れて行き、スクールが終わった後に迎えに行かなくてはなりませんが、キッズナーサリーにお子様を預けていただければ、色々な習いごとも一緒にできてしまう、それが私たちの保育の特徴です。
──保護者にとっては、お子様を預けるだけで習いごとまでできてしまうのですね。
そうですね。保育料は認可保育園より高額になりますが、いまお話しした保育の特徴を見てもらえれば、保護者にとってもコストパフォーマンス、そしてタイムパフォーマンスはかなり良い内容になっていると思います。この様な保育の特徴を保護者の皆さまに評価していただけて、今ではほとんどの園で定員は一杯になっています。
また、『保けいこ』の他にも毎月1回、園外保育を行っています。遠足や海や川、キャンプ、農園に行ったり、冬はスキーに行ったりしています。当初、園外保育は自社運営の園のみで行っていたのですが、他社からも多くの引き合いが来るようになり、旅行業の免許取得をして子ども専門の旅行会社も設立しました。コロナ禍の今、園外保育の実施は控えておりますが、落ち着いたらまた積極的に実施をしていきたいと思っています。
事業承継により施設を増やす
──毎年1~2園ずつ、どのように園を増やしてこられたのでしょうか。
最初の園を取得した時のように、他社からの事業承継を中心に園を増やしていきました。
また、2020年からのコロナ禍で苦戦している会社が多いと聞いていますので、「園を承継します」と色々なところに幅広くアナウンスしてきました。
──エムエーウェルフェアの事業承継コンサルティングを知ったきっかけを教えてください。
2~3年前に事業承継をした園の方にエムエーウェルフェアをご存じの方がいて、ご紹介いただきました。それ以来、いろいろとご提案やご紹介をいただいていました。中には譲渡まで至らなかったケースもありましたが、今では定期的に案件の相談をしています。
施設、立地、エリアを見てほぼ問題はないと判断
──今回、エムエーウェルフェアから事業承継の提案を受けた園について、承継できるという判断はどのようにして下されたのですか。
収支や在籍園児数などから、承継するかどうかは充分に検討する必要がありました。ただ、実際に園を拝見したり、立地、エリアを見た上で、きちんと弊社で引き継いでいく事が出来ると判断しました。
まず、周辺に認可保育園はたくさんありますが、私たちと同じような認可外施設は特段多くありませんでした。そして園は駅から徒歩5分程の好立地で、周辺は住宅地ですから、園児も一定数おり、需要もあると判断しました。その園児が認可に行くのか、それとも私たちを選んでくれるのかは、保育の内容・質によるものとなります。
私たちには長年の不動産業で培ってきた集客力があります。ですのできちんと地域に対して私たちを知っていただければ、十分に集客できると考えました。
──今回、園を譲りたいという法人についての印象はいかがでしたか。
複数の園をお持ちでしたが、より集中して保育を行うために1園を閉めるか、あるいは他社に承継したいとお考えでした。保育に対しての情熱もおありでしたし、保育士の方も継続雇用可能ということで、きちんとお話ができていましたので、6月にエムエーウェルフェアからご紹介いただき、8月には譲渡に関する合意ができました。
せっかくの園を閉めてしまうのではなく、私たちが承継して地域の保育に貢献していくということで、いい承継になったと思います。
──今回の事業承継に関してはスムーズに進めることができたのでしょうか。
行政側の許認可の関係で事業承継は年度替わりでないと承認が難しいということで、当初想定していたよりも時間がかかってしまいました。
ただ、正式な承継まで時間があった分、勤務されている保育士の先生や保護者と、時間をかけて弊社の経営方針を理解してもらう機会を持つことができました。
また、行政との手続きに関しては、エムエーウェルフェアから細かくサポートしてもらえましたので、そちらもスムーズに行うことができました。
今後もエムエーウェルフェアからの提案に期待
──エムエーウェルフェアの事業承継コンサルティングを評価していただけますか。
やはり行政との手続には時間がかかりましたが、そのための細かなサポートを行ってくれた点は高く評価しています。また、グループ内に公認会計士なども在籍していますので、紹介された法人が行ったデューデリジェンスの内容の精査についても信頼できるものだと思いました。
報酬体系についても、最終的なクロージング(承継完了)までの時間を考慮すると、かなり押さえ目のフィー(報酬)と感じました。
──KNホールディングスとしての今後の展開についてお聞かせください。
これからも毎年1~2園ずつ園は増やしていく予定です。エリアとしては首都圏になりますが、できれば既存の園の近くに増やしていきたいですね。既存の園が定員一杯になった際、近くであれば新しい園に入っていただくことも可能です。また、人材不足が叫ばれている業界ですから、保育士なども、近くに園があると色々と調整もしやすいですから。
──今後もエムエーウェルフェアのコンサルティングを活用する機会がありそうですね。
そうですね、期待しています。皆さんもご存じのように今後日本は『超高齢化社会』となり、雇用・医療・福祉など、さまざまな分野に影響を与えることが予想されていますが、保育業界もその影響を大きく受け、園児の数も減っていき、保育事業はピークアウトするといわれています。
その時に保育業界で生き残れるかどうかは、保育の質だと考えています。弊社としても、現在進めている保育内容・質をより充実させながら、2025年に向け、きちんとした経営基盤を築いていきたいと思っております。今後も、エムエーウェルフェアからのご提案には期待しておりますし、引き続き協力体制を強化していきたいと思っております。
KNホールディングス様、この度はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。
- 取材日時 2022年4月
- 取材・制作 株式会社カスタマワイズ