認証保育園(認定保育園)とは ─特徴や要件から認可保育園との違いまで解説

コラムヘッダーイメージ2

保育園を経営する際は、認可保育園や認定保育園など、国や自治体が定める要件を満たした保育園を目指す必要があります。認可保育園は知っているが認証保育園については聞いたことがない方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、認証保育園(認定保育園)の特徴や認可保育園との違いなどについて詳しく解説します。

認証保育園(認定保育園)とは

認証保育園(認定保育園)とは、各自治体が認証・認定した一定の基準を満たす保育施設のことです。一定基準を満たした保育環境を確保しているため、一定以上の安全性や信頼性があります。

┃認可保育園との違い

認可保育園は、自治体が定める基準を満たした保育施設のことです。子ども1人に対する保育士の人数、施設の面積、設備などの条件を全て満たしています。一方、認証保育園は基準の一部のみ満たしており、認可保育園と比べると保育水準が低いと言えますが、認証保育園が危険というわけではなく、適切な保育を行うための基準は満たしているため、安心して預けられる点に違いはありません。

なお、認可保育園の保育士の給与や設備の拡充などに要する費用は、その大部分を自治体からの補助金が占めています。そのため、給与や設備が比較的充実しており、経営も安定している傾向があります。

┃認証保育園(認定保育園)の制度の存在意義

存在する全ての保育施設が認可基準を満たすことはできません。それでは、認証保育園(認定保育園)の制度はなぜ存在しているのでしょうか。

保育施設の中には、子どもに対する保育士の人数、設備などの要件を満たしているものの、土地代が高い駅前を選択したことで十分な面積の園舎を設置できず、認可を受けられない施設もあります。

また、独自の保育を行うために、あえて認可を受けていない保育園も少なくありません。このように、安全に保育を行える環境があるのにかかわらず、特段の事情で認可基準を全て満たすことが難しい保育施設のために、認証保育園(認定保育園)の制度が導入されています。

認証保育園(認定保育園)の基準は自治体で異なります。次の項目からは、東京都における認証保育園(認定保育園)を例に挙げて詳しく説明します。

東京都における認証保育園(認定保育園)について

東京都には多くの認可保育園がありますが、人口密度が非常に高いため十分な保育施設が確保できていません。そのため、待機児童が大きな問題となっており、保育施設をより多く設立することが急務です。東京都が設けた認証保育園(認定保育園)である「認証保育所」は、このような問題を解消できる可能性があります。参考:東京都福祉保健局『認証保育所について』

認証保育所の目的や特徴、保育料などについて、以下に詳しく説明します。

┃目的

東京都は、「認可保育園の不足」「多様化する保育ニーズ」に対応するために、「認証保育所」の名称で認証制度を設けています。認証保育所が増加すれば待機児童の人数減少も期待できるでしょう。また、東京にある多様な企業が新しいスタイルの認証保育所を始めることで、多様化する保育ニーズに対応できる可能性があります。

多様化する保育ニーズは、「産休明けからすぐに預けたい」「遅くまで預けたい」「行政の目が届く保育所を選びたい」「経済的事情を踏まえた保育料を設定してほしい」などです。一般的な保育所と比較して保育の時間が長い、保育料の設定が経済的事情を考慮している、といった認証保育所が求められています。

┃特徴

民間事業者を含む、さまざまな事業者が認証保育所を運営しています。東京都の認証保育所の特徴は次のとおりです。

  • 0歳からの保育に対応
  • 13時間の開所が基本
  • 東京都が設置を認証・認定し、市区町村とともに指導
  • 保育所の重要事項を随時情報提供
  • 公開された情報をもとにニーズを満たした保育所を選べる
  • 保育所と直接利用契約できる
  • 料金に上限を定めている
  • 適切な保育水準を確保

┃保育料

東京都の認証保育所の保育料は以下になります。

  • 月220時間以下の利用の場合
    • 3歳未満:~80,000円
    • 3歳以上:~77,000円

保育料の月額には、保育料に加えて1食目の給食代とおやつ代、保育材料費、光熱水費、年会費、消費税が含まれています。

上記の条件を満たす範囲で保育料は事業者が自由に設定します。料金の仕組みや金額は事業者が自由に選択できますが、より多くの入園を求めるのであれば、サービス内容に見合った金額を定めることが大切です。

まとめ

認証保育園(認定保育園)は、特段の事情により認可保育園になれない/ならない保育所に対し、各自治体が独自の基準で認証(認定)した保育施設です。

安全に保育を行うために満たすべき基準は満たしているため、保護者としては安心して預けられるでしょう。保育園の経営を検討する際は、運営方針や経営理念、設置条件などを踏まえ、認証保育園(認定保育園)か認可保育園のどちらを目指すべきか考えることが大切です。