認可保育園とは ─特徴・設置基準から認可外保育園との違いまで解説
保育園には、認可保育園や認可外保育園などいくつかの違いがあります。保育所を設置する際は厚生労働省や自治体が定める基準を満たす必要があるため、保育事業等の開業や承継の際は確認しておくことが大切です。今回は、認可保育園の特徴や設置基準から認可外保育園との違いまで詳しく解説します。
認可保育園とは
認可保育園とは、児童福祉法で定められた基準を満たした保育施設のことです。一方、認可外保育園は児童福祉法で定められた基準を満たしていない、または特段の事情により認定ができない保育施設を指します。
認可保育園への入園を希望した際は、自治体が所得や共働きかどうか、子どもの人数などさまざまな要件を考慮のうえで可否を判断します。一方、認可外保育園は保護者が保育園に入園を申し込み、責任者が入園の可否を判断する仕組みです。
認可保育園の設置基準
認可保育園として認められるには、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(昭和23年厚生省令第63号)」の「職員の配置基準」「設備の基準」「その他の基準」などをもとに自治体が条例で定める条件を全て満たす必要があります。
それぞれの基準について以下に詳しく説明します。
┃職員の配置基準
子どもの年齢および人数に対する保育士の人数が定められています。
- 0歳児3人に対して保育士1人
- 1~2歳児6人に対して保育士1人
- 3歳児20人に対して保育士1人(15:1の場合は加算あり)
- 4歳以上児30人に対して保育士1人
なお、保育士は最低2名は配置しなければなりません。さらに、嘱託医と調理員の設置も必須です。ただし、全ての調理業務を外部業者へ委託する場合は、調理員をしなくても問題ありません。
┃設備の基準
入園する子どもの年齢に応じて、設備基準が定められています。
- 0~1歳児…乳児室または ほふく室と調理室
- 面積:乳児室(1.65平方メートル以上/人)、ほふく室(3.3平方メートル以上/人)
- 2歳以上…保育園または 遊戯室と調理室
- 面積:保育室・遊戯室(1.98平方メートル以上/人)
┃その他の基準
その他の基準として、屋外遊技場の設置、必要な用具の備え付け、建物の耐火基準の達成、保育時間の確保、保護者との密接な連絡という基準が定められています。
地域型保育事業の認可基準
小規模保育事業とは、事業者がさまざまなスペースを活用して保育を行う事業のことです。さまざまな事業から移行することを想定し、下記3つのグループに分類されています。
- A型…保育所分園、ミニ保育所に近い
- B型…A・C型の中間に位置する類型
- C型…家庭的保育(グループ型小規模保育)に近い
それぞれの基準については上の表のとおりです。
┃家庭的保育事業等の認可基準
家庭的保育事業とは、家庭的な環境において異なる年齢の子どもが一緒に過ごし、いつも同じ保育士が対応することが特徴の保育事業です。別事業からの移行や事業形態、特徴などを踏まえて上記のように基準が定められています。
認可保育園と認可外保育園の違い
認可保育園について知る際は、認可外保育園との違いが気になる方が多いでしょう。
認可外保育園とは、認可保育園の基準を満たしていない保育園のことです。「認可外保育施設」や「無認可保育園」と呼ばれることもあります。なお、自治体が定める独自の基準を満たす「認証保育園」も含まれます。
認可保育園と認可外保育園の違いについて詳しく説明します。
┃設置基準
認可保育園は厚生労働省が定める設置基準を満たしていますが、認可外保育園は満たしていません。ただし、「認可外保育施設指導監督基準」で定める職員数や設備などの基準を満たす必要があり、各自治体が定期的に立ち入り調査を行います。
┃補助金制度
認可保育園は国や自治体から補助金が支給されますが、認可外保育園には補助金が支給されません。ただし、独自基準を満たす保育園に対して補助金を支給する自治体もあります。
┃無償化の範囲
認可保育園は、3歳~5歳までの子どもの保育料が無償、0歳~2歳の子どもは住民税非課税世帯のみ無償です。一方、認可外保育園は子どもの年齢に応じて上限付きで保育料が無償となっています。
まとめ
認可保育園は児童福祉法で定められる基準を満たしており、安全に保育を行える環境が整っています。
認可外保育園も認可保育園ほどではないものの安全に保育を行うための設置基準が設けられているため、必ずしも認可保育園に劣るとは限りません。認可保育園の経営を始めようとお考えの方や、保育事業を承継する予定がある方は、今回ご紹介した内容をぜひご参考ください。